2016年7月7日木曜日

保育士の給与の安さについて考える

今週末の参院選の争点の一つにもなっている待機児童問題ですが、その背景には保育士の待遇が悪く、なり手がいないという現状があります。
保育士のなり手が少ないという問題には、業務が重労働という理由もありますが、待遇の良い公立保育所の採用試験には応募が殺到することから、賃金水準が主な理由と考えられます。

賃金水準というのは業界や会社規模、企業の個々の事情によって異なりますが、こと民間の保育園に関しては軒並み低い水準になっています。

与党は「保育士の処遇を今後新たに2%改善」を掲げていますが、2%という水準は、2016年の大手企業のペア水準(2.27%)を下回ります。また、多くの民間企業にある定期昇給が、保育士にはぼほありませんので、今後も保育士の処遇は低水準のままで推移する可能性が高いです。


では、なぜ保育士は低賃金なのでしょうか。

賃金は企業の売上や利益率に相関がありますが、保育士の場合、公定価格があるために一人の児童から得られる売上はほぼ一定です。また、保育士の配置基準により、保育士一人で見れる児童の数が制限されています。つまり、経験やスキルに関係なく、保育士1人当たりの売上が制限されています。

【配置基準】
・0歳児    3人につき1人
・1~2歳児  6人につき1人
・3歳児    20人につき1人
・4歳児以上 30人につき1人

【保育単価】(S県S市定員90名のケース)
・0歳児    157,440円
・1~2歳児  92,880円
・3歳児    44,520円
・4歳児以上 38,070円

在籍する保育士の平均勤続年数によって最大12%の加算がありますが、上記の理由で年齢や経験による昇給は、大幅な財政支出を行わないかぎり、難しい職種と言えます。


昨今、同一労働同一賃金の問題が取り上げられていますが、ある意味、保育士は(賃金水準が極端に低いことに目をつぶれば)同一労働同一賃金実現していますね、、、。


おっと、このへんで。

村田

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