2016年8月25日木曜日

制度設計におけるコンサルタントの役割

最近、同業のコンサルタントが手がけた制度の見直しを依頼されるケースが増えてきています。最も多いのは、当該企業の運用能力を超えた制度あるいは企業風土に合わない制度が導入され、再度の見直しが必要になっているケースです。

一例をいえば、人事制度マニュアルが企業名だけを変えたパッケージ型のマニュアルをツールとして導入しているケースや難解な用語や横文字(ほとんどの場合、事務局の人事部スタッフですら理解できていない)を羅列し、格調の高さを装っているケースなどがそれにあたり、高額のコストをかけたにもかかわらず、導入した新しい制度が機能していない状況になっています。

ファシリテーターであるコンサルタントに制度設計を依頼する場合に、まず発注元の事務局がやるべきことは、「仕様書」の作成だと思います。

①自社の現状制度の問題点、②改定の方向性、③時間軸のイメージ、④投入可能なコスト、⑤役割分担などを、事前に経営トップと人事部門の間でしっかりと議論し、できるだけ具体的な「仕様書」を作成することが大事です。

コンサルタントに対して、それなりの『投資』をする訳ですから、具体的な『仕様書』に沿った制度の完成を発注する事が重要なのです。

このステップを踏まないと、俗に言う「金魚鉢に鯉(金魚鉢の器しかないところに大きな鯉を飼おうとして失敗するという例えで、身の丈に合わないことの戒めの比喩)」のリスクを招くことになります。

「仕様書」のないクライアントに対して、ある意味カスタマイズする工数が不要になりますので、コンサルタントにとっては、大変易しい楽な「仕事」となります。(そうであっても、クライアントの実態をしっかりと精査・確認して取り組むのが、本来のコンサルタントの矜持ですが・・・)

とは言え、そもそもこの「仕様書」が作成できないから、専門家のコンサルタントが必要なのだという場合もあるでしょう。

その場合どうすれば・・・ 「丸投げ」はしたくないが、社内にそのような体制は備わってないし・・・

以前、大手企業の人事部に在籍していた際に、数多い人事系のコンサルティング会社の方々とお付き合いさせて頂きました。

国内大手はもとより外資系、銀行系となど10社以上にわたりましたが、長くお付き合いさせて頂いた会社には、共通した特徴があります。(その中には、同業者になった今でも公私にわたりお付き合いして頂いる方もいらつしゃいます)

制度設計を依頼するコンサルティング会社の可否を見分けるには、どうしたら良いのでしょうか。

私の独断と偏見によるものですので、必ずしも全てのケースに当てはまるとはいえないですが、見極めのポイントとしてご参考になれば幸いです。


①こちらの話を良く聴き、可能な限り当該会社に合うように、カスタマイズする姿勢がある。
②自社のツールの押しつけをしない。
③難解な用語、手法は使わない。
④担当者に企業での実務経験がある
⑤④の理由で、若手の新卒採用を担当にしない

いずれにしても、コンサルタントと会社事務局(人事部)の制度設計における役割分担を明確に区分して、取り組むことが肝要ではないかと考えます。

                                                     加藤浩彦

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